生姜の品種について、少し詳しく調べてみました。
その結果、当サイトに掲載していた内容に、一部誤りがあると判りましたので
FAQページの掲載内容を変更するとともに、当ブログページにて、新たに確認できたことを掲載します。
そのために、少々ややこしい話になってしまいますが、まずは「品種」という言葉の定義について。
本当の意味で「品種」という言葉は、所定の手続きをへて農水省に「品種登録」された作物にしか使用できません。
生姜については現在12品種が登録されていますが、実はその中には僕たちの栽培している「土佐一」のほか
「大身」や「カンボ」、「お多福」、といった品種は登録されていず、それらは単なる呼称、愛称のことでした。
ちなみに高知県で品種登録されている生姜は「土佐太一」、「とさのひかり」、「黄金虚空蔵」、「黄金虚空蔵Ⅱ」
の4品種です。
ただ、生姜の品種登録出願様式のなかでみると、「標準品種」として、
「谷中」、「三州」、「金時」、「らくだ」、「インド」の5品種が規定されています。
このことから、どうやら現在日本国内で生産されている生姜の呼称はこの5品種から派生した地方名や愛称である、
というのが正しい解釈のようです。これらは大きさによって、大生姜、中生姜、小生姜、と呼び分けられていますが、
品種として大中小の区別はありません。
また、「品種」とほぼ同様の意味合いで使われている呼称のなかに、「商標」登録されているものがあります。
「いちご」は野菜のなかでもダントツに登録品種が多く、200種類以上が登録されていますが、
有名な「とよのか」、「さちのか」や「とちおとめ」などはそのままの名で品種登録されています。
しかし最近人気の高い「あまおう」は「福岡s6号」という記号名で品種登録されています。
「あまおう」は登録商標です。
これらはビジネス的な戦略もからめて、どちらで登録するかが決められているようです。
青果の生姜については、現在商標登録されているものはありません。
とどのつまり「土佐一」とはなんぞや?ということを
高知県の関係機関に問い合わせたところ、丁寧にいろいろ教えていただきました。
当サイトには以前、カンボジア生姜の系統か、と書いていましたが、誤りでした。
土佐一は通常白っぽい果肉をしていて、酢に漬けるとピンク色に変色します。これはアントシアニンを
持っているからなんですね。
ところが、カンボジア生姜はアントシアニンを持たない品種で、もともと黄色い果肉をしているそうです。
どうやら土佐一はインド大生姜の系統のようです。
そして、「土佐一」という呼称が生まれたのは、おおよそ昭和50年ごろらしいです。
高知県に生姜栽培が転作作物として導入された昭和50年代、県下各地で、優良な種子を選抜し、系統だていこうという
農家、関係機関のはたらきがあり、「土佐1号」、「土佐2号」や個人名などの呼称がつけられたのだそうです。
(四万十町には「おかばやし」なる非公式の品種があったりもします。)
そして、生産規模の拡大と連作による病気の蔓延などで、弱い系統は姿を消していき
「土佐1号」からはじまった優良系統が、現在の「土佐一」と呼ばれる大生姜へとつながっている、ということです。
高知の生姜づくりの歴史を知る貴重な勉強ができました。
高知県農業技術センターの担当者様、ありがとうございました。
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